ニュースやSNSで「なくなる職業」の話を見るたびに胃が重くなる。自分の仕事は大丈夫なのか——その不安を、現実的なサイズに戻すためのページです。
「AIに仕事を奪われる」という言葉は正確ではありません。実際に起きているのは、職業まるごとの消滅ではなく、職業の中の「作業」が抜き取られていくという変化です。これを理解しておくと、不安の対象がぼんやりした恐怖から、対処できる具体に変わります。
どんな職業も、10〜30個くらいのタスクの束です。経理なら「仕訳入力」「請求書発行」「月次レポート作成」「経営者への説明」「例外処理の判断」…というように。このうちAIが得意なのは、手順が決まっていて、入力と出力がテキスト・数値・画像で完結する作業です。逆に苦手なのは、責任を取ること、関係者の板挟みを調整すること、前例のない状況で「やらない」と決めること。
自分の一週間を思い出して、タスクを紙に書き出し、「AIに8割任せられる/半分/ほぼ無理」で色分けしてみてください。多くの人は、思っていたより「ほぼ無理」の欄が埋まります。そして「8割任せられる」欄は、むしろ自分がやりたくなかった作業だったりします。
自分の職種で、AIに任せられる作業を実際に任せてみる。1か月やると、上司や取引先に「これ、こうすれば速くなります」と言える立場になります。ツールに詳しい人は、職場でいちばん最後に切られます。
顧客との関係、現場勘、特定分野の深い経験、「あの人に頼めば安心」という信頼。これらはコピーできないので、AIが普及するほど相対的に高くなります。逆に、検索すれば出てくる知識の量で勝負していた人は、価値が薄まります。
本業が揺れても即死しないように、小さくていいので別の収入経路を持つ。副業でも、資格でも、作品でも。金額より「複数ある」という状態が効きます。
AIによって「ありふれた知識・スキル」の価値がどんどん薄まっていく現象を「価値の砂漠化」と呼び、その中で個人が何を握っておくべきかを考えた一冊。煽らず、諦めさせず、いま自分の手札を数えるための本です。
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